これは私の感想です。

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『パーフェクト・ストレンジャー』どんでん返し系だけどネタバレ食らっても面白い【あらすじ感想若干ネタバレ】

きゃんどぅです。

 

今回は、最近観たサスペンス映画、『パーフェクト・ストレンジャー』をレビューしていきます!

 

作品情報

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↑このキャッチコピーで損してる



題名:『パーフェクト・ストレンジャー

(原題:Perfect Stranger)

 

監督:ジェームズ・フォーリー

脚本:トッド・コマーニキ

出演:ハル・ベリーブルース・ウィリスなど

製作:コロンビア・ピクチャーズ

配給:ソニー・ピクチャーズ

 

公開:2007年4月13日(米国)

2007年9月29日(日本)

 

上映時間:109分

 

ザックリ評価

★★★☆☆(5つ中3つ)

 

詳細評価

ストーリー 80点

映像 70点

キャスト 90点

売り文句 40点

 

三行あらすじ

幼なじみ死んだ

ブルース・ウィリスが怪しい

忍び込んだろ!

 

ネタバレ無し/未見向け感想

キャッチコピーは知らない方がいいね。


 TruBluというチャットサービスを使って、記者根性のすごい主人公がブルースウィリス演じるヒル(女遊びの激しいやり手社長)の闇を暴こうとする……ってのが大まかなストーリーなんだけど、劇場公開時、CMでは「ラスト7分11秒、あなたは必ず騙される。」という売り文句が話題になった。

 

 ただ、そこにはあんまり期待しない方がいいです。いやオチがしょぼいとかではないんだけど、この作品の面白さはそこじゃないんだよなーっていう……。


 『シックス・センス』とか『ユージュアル・サスぺクツ』とか、マジでオチを言ったらダメな作品とは違って、正直オチを知った上で観たとしてもこの作品は楽しめます。つまり、オチのどんでん返し一本で面白さが決まる映画ではないってこと。マジで。

 

 あと、2007年はもはやどんでん返し系の映画がありふれてしまってるから、ある程度の人が衝撃のラストに対する耐性がついてしまっていた。

 その中で、そんな売り文句で煽られたらハナから疑ってかかって観れてしまうから、なんとなくでも真犯人の見当がつくのかもしれない。

 

 なので一回、全てを忘れてまっさらで観てほしい。

 

 

 今作はざっくり言うと、「SNSの恐さ」「秘密の闇」みたいなのが主軸のテーマにある映画。作品自体が2007年公開だから、まだTwitterInstagramなどの現在主流なプラットフォームがなかった時代だ。

 

 だからこそ「ネットの人間=怪しい」という認識も根強くあったはずで、当時のネット利用者はこの映画を観てその危険性を再確認したことだろう。

 

 劇中で使われるTruBluというチャットサービスは今でいうTinderみたいなもので、ある程度リアルに近い登録情報でやり取りをするようだ。実名や写真の公開は当たり前で、基本的には出会い系アプリのような使い方をされている。

 

 しかし画面の向こう側にいる者がその写真の人だとは限らないし、偽名だって簡単に名乗れてしまう。このリアルとネットの境界線のあいまいさが特有のワクワク感と不安を持たせてくれるのだが、今作の中ではそのあいまいさが巧妙なトリックに生かされている。

 

 とにかくどんでん返しモノだぜヒャッホー!と期待していると、肩透かしを食らってしまうかもしれない。そのせいで現在レビューサイトでの評価はそこまで高いものにはなっていないが、公開から10数年しか経っていない今見ると、オチに重点を置かず全く違った切り口で観ることができる作品だと思う。リメイクしても全然アリ。

 

 

ネタバレ含む/観賞者向け感想

 なんだかパンチの足りない佳作


 いわゆる「信頼できない語り手」モノである今作なのだが、ここのオチの弱さは評価を落とされても仕方ないのかなと思う。なんてったって伏線がない。

 

 上述したように、「あなたは必ず騙される」というキャッチコピーに殺されてしまった感がある。

 

 僕自身は観ている途中で真相に気が付くことはなかったため、かなり新鮮なリアクションができたはずなのだが、「あっ、そうなんだ、ふーーん……」となってしまった。

 

 もっとも、その前にあるマイルズの主人公に対する執着心があらわになる終盤のサイコホラーな展開にはさすがに驚かされたし、演出自体も延々と繰り返される「Miles is Sexy」や顔面写真を張り付けたオブジェなど、気持ち悪さが全面に出ていて映像のインパクトがとてもよかった。

 ここに関しては、そこまでで(やたら執着してんなこいつ……)と思えるようなシーンが結構あったため割と納得がいく作りになっていた。

 

 だから、そこで終わっててほしかった。

 

 そこからもう一つ「主人公が犯人でした!」と言われても、映画としての盛り上がりのピークはマイルズの秘密暴露で到達してしまっているため、大オチが弱く、くどささえ感じるのである。


 ではどうすれば面白く感じたのか?というと、秘密を暴露する順番を逆にすればよかったのかな、と。


 映画の主幹としては「人には誰しも秘密がある。」というメッセージがあるため、ヒルは奥さんに黙って女遊びをしているという秘密、マイルズは主人公に対する変態的な執着心があるという秘密、そして主人公は父の殺人を幼馴染に見られ、彼女も殺したという秘密、と主要人物みな何かしらの秘密を抱えている。

 

 その流れがあるため、最終的に主人公の殺人が暴露されるのも必然的ではあるのだが、前述のとおりマイルズの秘密の気持ち悪さには勝てていないように思う。

 

 しかも殺人の事実に関するヒントは観賞者には見えないところに隠されているため、謎解きとしてはフェアではない。なので映画的には、


①主人公の殺人がバレる(ばれていたのが分かる)

②マイルズの秘密が暴露される

③マイルズは主人公に執着していることがわかり、口外しない代わりに共依存的関係になるorマイルズが主人公を殺してオブジェを完成させるor本編ノーマルエンド…


とした方が観賞の後味にスパイスを加えてくれたかもしれない。

 

 まぁ今作のラストシークエンス、隣人が一部始終を目撃していてその網膜にクローズアップし、オープニングの映像と対になるというのは監督のやりたかったことなんだろうなと納得できるし、なんだかオシャレな締めにも感じられる。

 

 ただ、スッキリとしすぎていて、恐らく1年後には内容の大半を忘れてしまうんだろうなと考えている。実際、レビューサイトにはそういった書き込みも多かった。

 

 ミストしかりセブンしかり、強烈なインパクトを残す映画こそ名作として語られるんだろうなぁ、と逆説的に考えさせられた映画でありました。

 

 

おわりに


 いかがだったでしょうか。元々珍しくもない、普遍的な「秘密」についての映画ではありますが、キャッチコピーがもう少しアオリ成分少な目だったらもっと評価されていたであろう惜しい映画だと思います。
 しかしどんでん返し入門みたいなところがあるので、映画初心者の人に勧めるには良さそうです。

 最後に言わせて。ハルベリーイズセクシー!